中日スポーツさん、コラムでロッテ吉井監督を絶賛
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って
◇15日 中日1―1ロッテ(バンテリンドームナゴヤ)
就任して真っ先に球団に要望したのは「ZOZOマリンスタジアムの監督室のレイアウトを変更してください」だったそうだ。
といっても高級調度品を望んだのではない。部屋の奥にあったデスクを入り口付近に動かし、扉を常時開放した。
これはロッテ・吉井監督のチーム運営を端的に表す話だと思う。選手やスタッフにとって、監督室とはなるべく近寄りたくない場所なのだ。
その敷居を下げ、前を通る選手に自ら声もかけられる。そこから幕張の改革は始まった。
積極的に選手とともにトレーニングルームで汗を流すのは、鍛えたいからだけではない。
ホームでは疲労を考慮して「自主練習」の日をつくり、通常は開始40分前のシートノックも打撃練習後に済ませてしまう。
そしてコーチには「教えるより選手の聞き役に回ってくれ」と伝えた。著書の『最高のコーチは、教えない。』には、従来型の師弟関係についてこう書いてある。
「俺のようになれ」と教えるのは、ある意味で必然だった。しかし、そうした指導はコーチのミニチュアを再生産するにすぎない。
選手が持っていたせっかくの個性が消され、本来持っていたはずの本当の力は出てこない。
選手の声を聞け―。その意図は今、何を考えているのか、未来をどうしたいのかを知ることにある。
全てにつながっているのは、選手と指導者の意思疎通の重視だ。
土台には現役時代に接してきた指導者がいる。今季57試合目で何とオーダーも57通り目。
猫の目打線は近鉄の仰木彬監督が得意とする手法だった。弱者の兵法はヤクルトで野村克也監督に学び、合理的な練習法はメジャー仕込み。
そして「教えない教え」の源流は、尊敬する権藤博さんにある。コーチが上ではない。勝つためにこそプレーヤーファースト。
指導者のミニチュアをつくってはいけない。ロッテの躍進はそう教えてくれる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/083b22674dc5fed3833def1c270dadc553c6e900