【芸能】なぜ狩野英孝は浮き沈みの激しい芸能界で20年間消えなかったのか――。「好きだからグイグイいっちゃう」いじられキャラが考える、したたかなホンネ

【芸能】なぜ狩野英孝は浮き沈みの激しい芸能界で20年間消えなかったのか――。「好きだからグイグイいっちゃう」いじられキャラが考える、したたかなホンネ

【芸能】なぜ狩野英孝は浮き沈みの激しい芸能界で20年間消えなかったのか――。「好きだからグイグイいっちゃう」いじられキャラが考える、したたかなホンネ

「芸人の仕事が嫌いになりそうだった――」ナルシストキャラで早々にブレイクしてしまった狩野英孝が、今まで誰にも話せなかったこと から続く

 ナルシストキャラで一躍ブレイクし、2023年で芸歴20年を迎える狩野英孝。浮き沈みの激しい芸能界で、ここまで長きにわたり活躍が続いているのはなぜか。また、大物芸能人から可愛がられている理由は……?(全2回の1回目/前編を読む)

◆◆◆

なぜフェードアウトすることなく20年間生き延びたのか?

――2023年で、芸能生活20年になるとのこと。浮き沈みが激しい世界で、ここまで長く活躍が続いたのはなぜだと思いますか。

狩野:ん~、たぶん色々あるんでしょうけど……、僕の中では、大ブレイクしてないっていうのが一個、理由としてあると思うんですよ。たとえば、「ラーメン・つけ麵・僕イケメン!」しかり、「スタッフゥー」とか。みなさん知ってはくれましたけど、流行語に入ったわけでもない。むしろかすってもない。

――今でも、記憶に残っているフレーズではありますけどね。

狩野:あと、僕らの世代って、『爆笑レッドカーペット』の影響も大きいんですよね。名も知られてない若手30~40人が番組に集められて、そこからみんな一斉に世に出ていった感じで。でも、僕ひとりだけ目立って、売れたわけじゃないし。たぶん、1年に1人くらいスターって出てくるじゃないですか。当時だと、小島よしおさんとかエド・はるみさんとか、HGさんとか……。僕はそういう感じでもありませんでした。

――歌も出されていましたよね。

狩野:CDも出してはいたんですよ。ただ、芸人だと、とんねるずさんとか、『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』でやっていた、ブラビポケビとか。ダウンタウンさんの『明日があるさ』みたいに、特に話題にもなってないというか。大ヒットしてないんです。僕の曲ってオリコン9位とかそのあたりで、ヒットもしていないし、コケてもいない、なんか絶妙なとこいってんな……っていう(笑)知ってる人は知ってるけど、みたいな感じで。何となく口コミで広がって、何となくフェードアウトするような。

「ビビるから、これで大丈夫かな、ホントに大丈夫かな」と思い続けて20年

――しかし、フェードアウトせずに、実際20年も活躍が続いています。

狩野:あと、もう一個の理由は、僕、ビビりなんですよ。ビビりがすご過ぎて、何度も練習しちゃうんです。何かの番組でネタをやるときも、すごくビビるから、これ、大丈夫かな? ホントに大丈夫かな……? って毎回心配。不安だから、もう一回練習しよう。これでいいのか? いや、やっぱりこっちで入れ替えてみようとか、ギリギリまで悩んじゃってる。

 あと、番組から「このトークテーマで話してくださいね」って言われるときもそう。事前に番組のアンケートも書いてあるし、自分が話す内容は準備できてるんですよ。でも、やっぱり不安で。後輩を呼んでご飯を食べながら、「この前のさぁ~」とか、ネタの練習に付き合ってもらったりして。やっちゃうんすよね~、練習を。

――すごく準備をされているのですね。

狩野:それが、うまくいけばビシッと決まるし。まぁ、だいたい決まらないときの方が多いんですけど……。言い間違いとか、噛んじゃったりして。

――準備を怠らないところが、今の活躍に繋がりつつも……。

狩野:なんすかねぇ。どんなに準備をしても嚙んじゃって、MCの人に「はい、ストップっ!」って止められて。間違えたところを掘り下げられる……。僕も、慌てて「いや、違うんですよ! この後にね……」って話を続けようとしても、「もうエエって!」って。こっちは喋りたい。向こうは止めたいみたいな。

 そのドタバタや、僕が恥ずかしがったり、焦ってる様子を見て、視聴者の人たちは笑うみたいな。で、収録が終わってスタジオを出るときに、ディレクターさんに「面白かったね!」って言われるんですけど、あんまり手ごたえ感じてなくて。

 オチまでいけば、こんなもんじゃないのに、とか。なんかこう、気持ちにしこりを残しつつ、次は絶対成功しよう……!って思いながら、今も続いているような。

――準備とは別の部分で笑いが起きることに対して、どう思いますか? 

狩野:こんなに練習しても、違うところで笑いがとれるんだったら、練習なんてマジ不要じゃん! って思って。あるとき、練習しないで収録に行ったことがあるんですよ。そしたら、こっちが噛んでしまったときに、たぶん「僕をイジってください……!」みたいな欲が、出ちゃってたんでしょうね。フェロモンみたいなやつが。全然MCの方がいじってくれなかったです。まぁ、伝わるんだと思いますよ。そういう匂いみたいなやつって。

 それに、おバカ芸人みたいなフレーズが世の中に出てきたのって、たぶん『クイズヘキサゴン』とか、あのあたりくらいから広まったと思うんですけど。やっぱりそういう風に言われることにたいして、悔しいとは思いますから。今でも、夢は自分の冠番組もって、MCでドンっ! てやるのが夢なんです。だから、おバカで生きていくとか、腹くくっちゃったらちょっと違うなと思うし。

上沼恵美子島田紳助……大物芸人に可愛がられるワケ

――狩野さんは大物芸能人からも可愛がられている印象があります。

狩野:確かに、デビュー当時は、白スーツナルシストキャラとかで、TVに出始めてたんですけど……。でも、僕なんてお笑いの聖地である大阪とか、絶対受け入れられないだろうなって、どこかで思ってたんですよ。

 しかし、上沼恵美子さんに可愛がって頂き、当時、やしきたかじんさんの番組にもすごく出させて頂いて。なんだろう……。なんなんすかね~。ん~、大物芸能人とか、いわゆる大御所の方々に会うと、みんな緊張するだろうなって思うじゃないですか。もちろん僕も緊張するんですけど。でも、それよりも好きの方が買っちゃうんすよね。ホント、テレビっ子だったので、本人を見たときにまず「嬉しい!」っていう。一般の方々と同じような感覚かな。わ! ウッチャンナンチャンだ。松ちゃんだ! 浜ちゃんだ! とか、(石橋)貴さん(木梨)憲さんだ!っていう気持ちの方が強い。もちろん、多少緊張はしますよ。でも「えみちゃんだ!」の方が、俺大きくって。

 普通のまともな芸人さんは、打ち上げでも緊張するから、ここはちょっと距離とっておこうとかあると思うんです。でも、俺ガッツリ隣に座っちゃうんすよ。隣でご飯を食べられるなんて!っていう嬉しさの方が勝っちゃう。

――そういう気持ちが伝わると、先輩の方々も嬉しいでしょうね。

狩野:だといいんですけど。意外と、上沼さんとか、隣に座らせてもらった先輩から言われたことはないんですが、周りの芸人さんから言われます。「お前、あれ失礼だぞ。気をつけろよ!」って。

(島田)紳助さんのときも、「うわ! 紳助さんだ!」みたいな感じでグイグイいってたけど、まわりから、後から「お前紙一重だよ」とか言われたりして。

 今となっては、ハーフタレントの人とか、キャラクターによっては大御所の人とタメ語が許されてるみたいな感じもあるんでしょうけど、自分は好きだからグイグイいけたみたいな。

――また、大物芸能人以外でも、YouTubeなど拝見していると、スタッフさんたちとも仲が良さそうです。

狩野:この考え方が、どうなのかわかんないんすけど……。

 視聴者の方々を楽しまそうっていう気持ちは、もちろんあるんですよ。ただ、それ以上に現場でスタッフさんに面白いって思われたい。お茶の間の皆さんより、まず現場にウケたい!みたいな気持ちがすごいあるんです。ロンブー淳さんにウケたい。有吉さんを笑わせたいとか、さんまさんが大爆笑してくれるのが嬉しい。カメラさんが笑って、カメラ揺れてるときとか、すごく嬉しいですよね。

ビビりだから思う、若手芸人に対して心配してしまうこと

――2023年で芸能生活20年とのことですが、仕事や生活で変化ありましたか?

狩野:20周年だからっていうのは特になくて。逆に、今この取材受けて、あ、20周年なんだって思うというか。芸歴20年だからこうしようとかじゃなくて、若手魂のままやっていたら、気づいたら30年だ……!って。これからもそんな風になれたらいいなって思います。

 あと、結婚して生活が大きく変わったっていうのもないし。体をはるような仕事も変わらずやってて、周りも応援してくれるんで、それはありがたくチャレンジしていきたいなって思いますね。

20年目を迎えて、本当はやってみたいことは……

――芸歴20年ですが、中堅という意識はありますか?

狩野:中堅って感覚はないっすね。若手かどうかっていうより、「俺、いきます!」って突き進む気持ちは、デビューから変わらないです。僕が尊敬する先輩たち、出川さんしかり、歳をとっても変わらずに、何でも突っ込んでいく人たちを間近で見てるし。周りの同期や先輩たちにしても「おぉ、あれいったんだ!」みたいな話を聞くと、やっぱ刺激されるし。

 僕、思うんすよ。今、若い芸人たちがどんどん出てきてるじゃないですか。たとえば、第7世代の若くて元気な人たちがスタジオにいるとします。そこで、「さぁ、ここで中継繋がってます…!」ってなったときに、僕は真冬の寒空の中、ブルブル震えながら外にいる。「おい!なんで若手がスタジオにいるんだよ!」とか突っ込む。で、「今からファイアーリンボーダンスしてきます!」とか言いながら、「お前ら、ふざけんなよ!」なんてやってる自分が好きなんすよね~。そこは、若い子たちにはできないような、リアクションもとれるだろし。

――若手芸人の活躍を見て思うことはありますか?

狩野:若い子たちが活躍していく中で、ほんとうは、先輩としてスタジオでも話を振ったり、突っ込んだり、絡んであげなきゃいけないんでしょうけど。でも、またビビりにつながるんですが。俺が喋って、相手をスベらせちゃったらどうしようとか。若手で大事な時期に、巻き込んでしまったらとか、考えちゃうんすよ。一つのことでも、結構運命変わっちゃうじゃないですか。それで足を引っ張っちゃったらって。もちろん、そんな風に思う自分は、良くないと思うんです。

 彼らと一緒に戦う中で、むしろ、彼らがおぼれたとしても助けてあげたい。もっと覚悟を持たないとダメだなっていうのは、ここ1、2年は思ってます。もっと後輩たちを美味しくさせるようなことをしたいって。有吉さんとか、ロンブー淳さんとか、そうやって自分のことを扱ってくれたし、本当はそっちのところにいかないといけないんだよなって…。

――謹慎から復帰後、お仕事への意識は変わりましたか?

狩野:昔は、この仕事、どんな感じか見えないです。自分がやると、どんな展開になるか分からないってやつは、お断りとかもあったんですよ。迷惑かけちゃったらって。だけど復帰後は、食わず嫌いではなくやってみる。そう、まずやってみよう感は強くなりました。そこで失敗しても、ダメならダメでジャッジしていくし、スタッフさんのほうでも狩野じゃねえなって、なるかもしれないし。まずはやってみようと。

 僕はこれから自分の冠番組持ちたいし、MCもしたい。だから、20年でも30年でも一生懸命頑張るのは変わらないですね。一生懸命頑張っていれば、何かミラクルも起きるかもしれないですし(笑)

撮影=鈴木七絵/文藝春秋

ヘアメイク=Nao

スタイリング=中谷東一

(松永 怜)

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©鈴木七絵/文藝春秋

(出典 news.nicovideo.jp)

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