【芸能】香川照之セクハラ騒動にみる「有名人の銀座の飲み方」昔と今で変わったこと
「銀座セクハラ騒動」によって香川照之の芸能活動がピンチに陥っているのはご存知の通りだが、この一件では思わぬ副産物も生じることになった。「示談で納まったのに事件が表面化するとは、銀座のモラル低下も甚だしい」「水商売で高いお金を払っているのだから、ブラジャーを取られることくらい当然」「もっとひどい飲み方をしている人はいるのに、なぜ香川照之だけが問題視される?」などと“銀座クラブでの遊び方”そのものについて侃々諤々の議論が交わされたのだ。
そこで日刊SPA!では銀座で働くオーナーママ3人と夜の街事情に明るい有識者1人を緊急招集して、忌憚なき意見をヒアリング(香川照之「ホステス性加害」事件。銀座のママたちはどう見る?<緊急座談会>)。後編となる今回は、さらに踏み込んで“ネオン蝶の事件簿”と“銀座の流儀”を語り尽くしてもらった!
◆きれいな飲み方をする有名人とは
──香川さん以外にも多くの著名人が銀座には訪れているはずです。インパクトのある飲み方をしていた方はいますか?
河西泉緒(以下、河西) 某ジャニーズのタレントさんは、まだ若いのに来るたびに必ず高いワイン5本とシャンパン5本を入れてくれたんです。お店でも明るくて楽しい飲み方をするし、評判はすごくよかったですよ。
白坂亜紀(以下、白坂) やっぱり銀座の有名人といえば、みのもんたさんじゃないですかね。本当に毎日のように通ってくれるし、とにかくいっぱいお金を落としてくれるんですよ。そういう意味じゃ、すごくありがたい存在。飲み方も豪放磊落で、クラッシュアイスにブランデーを注ぎ、そのまま飲むんです。さらには女の子にも大量に飲ませる。お店の女の子が潰されちゃったらたまらないから、ピンチヒッターとして途中から私が飲むことになりますけど(笑)。
望月明美(以下、望月) スポーツ選手に関しては、キャリア的に苦労している選手のほうが飲み方は綺麗な傾向があるかもしれない。たとえばボクサー。彼らはハングリーに自分の力で地位を築き、スポンサーも苦労しながら集めているわけですよ。選手生命も短いですし。それに比べるとお相撲さんとか野球選手とか、伝統的に組織が強いスポーツ選手のほうが、気遣いに欠けた飲み方をする傾向はあります。
◆飲んでいてもスマートな自分を演じる
望月 もちろん全力士がそうだとは言いませんよ。でも座っているだけで周りが喜んでくれるような環境で育つと、どこかで感覚が麻痺してくるんだと思う。これは芸能人にも同じことが言えて、今も苦労されている方はもちろんですが、一時期は売れたけどダメになった人とかも銀座の評判はいいんです。逆に芸事のように“守られているジャンル”だと、勘違いされているんじゃないかと思うような方も見受けられます(苦笑)。
河西 今は香川さんが叩かれていますけど、私の中で俳優さんは綺麗な飲み方をするイメージがあるんです。彼らは演じるお仕事じゃないですか。飲んでいても、スマートな自分を演じることができるんでしょうね。たとえば芸能界の裏話みたいな話をしていても、絶対に他人の悪口は言わないことが多い。そういうのって人として信用できますから。
──勉強になります。他に「銀座のママが教えるモテる飲み方」は、どんな要素がありますか?
白坂 店全体の様子を把握して、気を遣える方はモテますね。「そろそろ混んできたみたいだね。また来るよ」と言って、お会計を済ませたり……。
望月 ベタかもしれないけど、指名してくれる方。足繁くお店に通ってくれる方。同伴してくれる方。商売ですから、お金を使ってくださる方はやっぱりありがたいですよ。
河西 あとはガツガツ口説こうとしない方もモテますね。銀座は女性を口説こうとしているお客様が多いから、逆に目立つんです。女性側としては「え? なんで口説いてこないの?」てモヤモヤしちゃう(笑)。
白坂 亡くなった渡辺淳一先生も銀座ですごくモテた方なんですけど、まさにその典型例。「僕は普通にお店に通っているだけだよ。そこで必死に口説こうとはしないだけ」っておっしゃっていました。
◆昔のほうがスキャンダルはドギツかった
──銀座が他の繁華街と異なる点として、スポーツ選手や政治家など顔が割れている人でも情報が漏洩しづらいため、安心して飲めるという面があったと思うのですが。
河西 それはどうでしょうか。人の口に戸は立てらないから、昔から噂話はすぐ広まっていましたけどね。何か事件が起こったら、銀座だろうがどこだろうと表面化は避けられないです。
白坂 むしろ昔のほうが、銀座関連のスキャンダルは内容的にもドギツかった気がしますよ。石原慎太郎さんや金丸信さんの時代から、政治の世界と銀座の街は切り離せないわけですし。
望月 「事務次官がホステスを妊娠させたけど30万円しか支払わなかった」とか週刊誌の記事にもなったじゃないですか。香川さんの件で新しい要素があるとしたら、「芸能人がCM降板まで追い込まれた」という点。これが鶴田浩二さんとかの時代だったらスルーされていたと思います。
甲賀香織(以下、甲賀) う~ん……。時代が違うと言われれば、それまででしょうけどね。
◆大物俳優の彼女を自称するホステスで溢れていた
望月 石原裕次郎さんの彼女を自称するホステスなんて、銀座にゴロゴロいましたから。田中角栄さんの隠し子と噂される存在も何人かいましたし。そういう角度で考えたら、香川さんは可哀想だなとも思うんです。やっぱり今の日本人にも、もっと大きいスケールで遊んでほしい。それは芸能人だけじゃなくて、代議士の方や作家の先生も同じ。遊び方が小さいから、お仕事のスケールも小さくなっている気がするんですよ。
白坂 昔に比べると、世知辛くはなりましたよね。40年前の銀座は本当に賑わっていましたから。バブル時代は接待費もたくさん使えたし。夜になると並木通りが人混みで歩けなくなるほどでしたし。要するにバブルの頃は、お金が溢れかえっていたんでしょう。
甲賀 まぁでも香川さんの件で銀座のことがこれだけ注目されたのは、それだけみんな興味あるんだと私は前向きに解釈していますけどね。有識者の方も、銀座のことをわかっていない人に限って調子はずれな批判をしているようですし。
望月 本当にその通り! 銀座というのは「水商売甲子園」ですから。いきなり銀座でキャリアをスタートさせるわけではなく、福岡、札幌、大阪、新宿などで客商売をする中、「君って銀座向きじゃない?」などと言われて流れ着くケースが多いんです。夜の蝶にとっては、憧れの聖地でもあるんですよ。
河西 銀座から元気なくなると、日本に元気がなくなるのは事実。銀座にいればエッチなトラブルも含めていろんな事件が起こりますけど、沈んだ世の中に活力を入れられるように私たちなりに盛り上げていきたいです!
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白熱した議論が続く中、「本当にそんなことがあるのか?」と目を丸くするような発言も飛び出した。驚く取材陣に対し、「『女帝』(原作:倉科遼)という漫画を読まれたことがありますか? あれ、ほぼ事実ですからね」と平然と言い放つママの姿が今でも目に焼き付いている。事実は劇画より奇なり。水商売甲子園には独特の磁場と男たちを引きつけてやまない魔力が働いているのかもしれない。
<取材・文/小野田 衛 撮影/渡辺秀之>
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