【テレビ】 『ぶらり途中下車の旅』“取材先ファースト”で30年 街ブラ番組パイオニアの矜持
2022/10/14 14:52
著者:中島優
日本テレビの旅番組『ぶらり途中下車の旅』(毎週土曜9:25~)が、この10月で放送開始30周年を迎えた。土曜の朝にお出かけ気分にさせてくれる上、気軽に足を運べる路線チョイスも絶妙で、長年にわたって人気を博してきた。
30年前に比べ、旅番組があふれるテレビ界だが、街ブラのパイオニアとしてどのような意識で制作に臨んでいるのか。総合演出の佐藤一氏に話を聞いた――。
■面白い店が見つかりにくい路線は…
旅の路線を決めるにあたって大きな要素となるのは、オープニングの画。「例えば『山手線をやりたい』というよりは、『今、新宿御苑の花がきれいだから紹介したいね』ということから考えます。
季節感を考えて、土曜の朝に見てもらって『ちょっと行ってみようか』と思っていただけるような場所を選んでから、『新宿をスタートするなら何線にしようか?』となって、うちのディレクターはベテランぞろいで情報の蓄積がありますから、
『前にあそこを歩いてたらちょっと面白い店があったから、山手線をやろうか』という感じです。もちろん、その回の前後で路線や地域がバラけるようにしています」という具合で選定する。
最多乗車路線は、172路線を放送してきた中で73回を占めるJR山手線。東京の大ターミナルを網羅しており、立ち寄る場所が尽きないのもうなずける。
一方、面白い店が見つかりにくいというのは、意外にも京王井の頭線。渋谷、下北沢、吉祥寺とネタが豊富なイメージがあるが、「ほかは住宅街の駅が多くて、路線の距離も短いので、結局いつも同じ駅になっちゃうんです」という。
つまり、路線の距離が長くなると見つかりやすいということで、「今は、南栗橋(東武日光線)から中央林間(東急田園都市線)まで、
川越(東武東上線)から元町・中華街(みなとみらい線)までつながっているので、昔よりはやりやすくなってますね」と、拡大する直通運転の恩恵もあるそうだ。
新しい路線が開業すると「すぐ食いつきますね!」というが、「日暮里・舎人ライナーではえらい目に遭いました(笑)」と苦い経験も。
普通の番組では、運行中の電車内の撮影はNGだが、『ぶらり途中下車の旅』が許されているのは、「やはり30年間、先輩スタッフたちから鉄道会社をすごく大切にしてきて、信頼関係を築いてきたからだと思います」と胸を張った。
■最重視するのは店の人の“人柄”
https://news.mynavi.jp/article/20221014-burari/